「知財調停制度について」のお知らせ

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)を通じて、最高裁判所から「知財調停制度の概要」に関する周知協力依頼がありましたので掲載いたします。

【知財調停とは】
知財調停は、知的財産権部の裁判官1名と知的財産権の専門家調停委員2名から構成される調停委員会が、法的観点を踏まえた見解等を示しながら当事者間の調整を行い、原則として3回程度の期日内で、話合いにより知財紛争を解決することを目指す非公開の手続です。
知財紛争を解決する手段としては他に民事訴訟もありますが、上記のとおり、知財調停は、迅速かつ非公開の手続において、(民事訴訟と同様に)当該知財紛争に関する裁判官の見解等を得ることができる上、民事訴訟の提起に必要な手数料の半額以下の手数料で申し立てることができます。

 

知財調停について
(東京地方裁判所ウェブページ内「知財調停手続の運用について」から引用)

【1 知財調停の概要】

○ 知財調停とは
・ 裁判所で取り扱う「民事調停」のうち、ビジネスの過程で生じた知的財産権に関する紛争に特化した調停手続のこと。
・ 上記紛争について、提出された資料等に基づき、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所の知的財産権部(以下「知財部」という。)の裁判官及び知的財産権事件の経験が豊富な弁護士・弁理士等の調停委員で構成される調停委員会の助言や見解を得て、話合いによる簡易・迅速(原則として3回の期日まで)な解決を図ることを目指す。

○ 知財調停の実施裁判所
東京地方裁判所及び大阪地方裁判所

○ 知財調停の対象となる紛争
・ 対象事件
特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、回路配置利用権、商法12条・会社法8条又は21条に基づく請求権、不正競争防止法に定める不正競争、種苗法による育成者権、他人の氏名・名称又は肖像を広告の目的又は商業的目的のために無断で使用する行為に関する紛争等
・ 知財調停に適した事案
当事者間の交渉中に生じた紛争であり、争点が過度に複雑でないものや交渉において争点が特定されており、当事者双方が話合いによる解決を希望している事案等

【2 知財調停の特色】
知財調停には次の4つの特色がある。

○ 非公開
知財調停は、通常の民事調停と同様、申立ての有無も含め手続は公開されることはないので、紛争の存在自体が第三者に認識されることなく、紛争の解決を図ることが可能である。

○ 迅速性
当事者が、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に知財調停を申し立てることとなるが(※)、通常、そのような場合には当事者間で事前交渉が行われており、ある程度争点が特定され、それぞれが関係する資料等も保有していると考えられる。知財調停では、それを前提として、第1回調停期日までに両当事者に主張と証拠を提出してもらい、原則として、3回程度の期日内で調停委員会の見解を口頭で開示することにより、迅速な紛争解決の実現を目指す。
(※)相手方の住所等を管轄する簡易裁判所が東京、名古屋、仙台又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する場合は東京地方裁判所に、大阪、広島、福岡又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する場合は大阪地方裁判所に申し立てることができる(民事調停法第33条の4)。

○ 専門性
知財調停は、知財部の裁判官及び知財事件についての経験が豊富な弁護士・弁理士などの調停委員2名の合計3名から構成される調停委員会により手続が進められるので、専門性について、訴訟等と遜色のない審理がされる。また、特許庁の審判官等の経験者や弁理士出身者から構成される裁判所調査官が関与することも可能である。

○ 柔軟性
相手方とのこれまでの交渉の状況等も踏まえて、当事者が解決したい紛争を設定することができる。また、知財調停の主たる目的は話合いによる紛争の解決にあるが、調停委員会の助言等を得て当事者間の自主的交渉に戻ることを選択することもできるし、調停手続の審理を踏まえ、訴え提起や仮処分の申立てをすべきかどうかについて検討することもできる。

【3 知財調停の利用想定場面】
知財調停に適した事案の例として、次のような事案が挙げられる。

○ 当事者間の交渉中に生じた知的財産権をめぐる紛争のうち争点が過度に複雑でないもの

○ 交渉において争点が特定されており(特定の構成要件充足性、損害額、ライセンス料等)、当事者双方が話合いによる解決を希望している事案

【4 裁判所HP】
○ 知財調停について(動画資料):裁判所ウェブサイト
東京地方裁判所
大阪地方裁判所